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古美術鑑賞の手引き: その1

目利きとは

生まれつきの目利きの人はいないと言って良いでしょう。 つまり、目利きそのものは、遺伝しないと言うことです。 ではどういう人が目利きになれるのでしょうか。 端的に言いますと、目利きになれるかなれないかは、「その人の物の見方」と「良いものに、どれだけ多く接することが出来たか」と言った環境によって左右されるのだと思います。当世きっての目利きの方は皆一様に同じことを言われます。

一昔前までは、お茶会などに招待されて所有者の所に伺う機会がなければ、一流品にはめったにお目にかかることが出来なかったのですが、今では、幸い名品が沢山登載されている図録が数多く発行されていたり、美術館や博物館に足を運べば実際に現物を間近で拝見することが出来たりする訳です。 ですから、その筋に居なくとも目利きになるチャンスはいくらでもあります。

しかし、一般の方は、古美術商のようにいつも美術品のことばかりを考え、接している訳ではありませんし、商売をしている訳でもないため、物の見方というのがおよそ甘くなることは否めません。 それでも、正しい物の見方を身に付け、根気よく見続けることによって、より目利きに近づけるのではないでしょうか。